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ピロリ菌感染胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)

ピロリ菌感染胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)

ピロリ菌が発見されて以来、上部消化管疾患の概念や診療の実態が大きく変化しています。

その中でも特に考え方が変化した「胃炎」について述べます。

「胃炎」は日常診療でよく使われる病名であり、その経過から「急性胃炎」と「慢性胃炎」に分けられます。一般的に「胃炎」とは「慢性胃炎」を意味します。

この「慢性胃炎」は、実は「組織学的胃炎」であり、ピロリ菌感染が主な原因となっています。

従来、日本の診療現場で頻繁に使用される「胃炎」には「ピロリ菌感染胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)」と胃が痛いなどの症状から診断される「症候性胃炎」が混在していたのですが、現在では「ピロリ菌感染胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)」を独立した病気として考え、治療方針としてピロリ菌除菌療法を提案するようになっています。

これまでの日常診療では、胃がん・胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの「器質的疾患」がなく、みぞおちの痛み、みぞおちの不快感、吐き気などの症状を訴える場合に「症候性胃炎」と診断してきましたが、「症候性胃炎」は「機能性ディスペプシア」という診断名で別に取り扱うことになりました。

では、ここから「ピロリ菌感染胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)」の話を始めます。

ピロリ菌に感染すると胃炎を引き起こすことが確認されていますが、ほとんどの人には症状がありません。

ピロリ菌の感染による炎症が続くと、感染部位が広がって「ピロリ菌感染胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)」になります。長い期間炎症が続くと、胃粘膜の胃酸などを分泌する組織が消失した状態(萎縮性胃炎)になります。さらに進むと、胃粘膜は腸の粘膜のようになります(腸上皮化生)。その後、一部の患者さんでは胃がんになることも報告されています。

少し専門的に言えば、ピロリ菌が人の胃粘膜に感染すると、胃粘膜に慢性組織学的胃炎、すなわち、局所の免疫反応を引き起こします。生涯にわたって炎症細胞、特に好中球浸潤を伴う慢性の活動性胃炎が引き起こされます。その後、長期の経過をたどって、次第に胃粘膜の老化現象である「萎縮性胃炎」へと進展し、さらには「腸上皮化生」へと誘導され、胃がんが発生しやすい環境が形成されます。

「胃粘膜の萎縮」についてもう少し専門的な話を続けます。

感染者における胃炎のパターンは「前庭部優勢胃炎」から始まり、加齢とともに「胃体部優位」に変化し、胃粘膜の炎症により、固有胃腺が障害されると「萎縮性胃炎」へと進行します。

すなわち、「胃がんの発症と関連のある胃炎のパターン」や「胃粘膜の老化現象が進む速度」が個人によって異なることが重要となります。

次の表をご覧ください。

正常な胃 萎縮なし 胃がんは非常にまれ
前庭部優勢胃炎 軽度萎縮 胃がんのリスク少
汎胃炎 中等度萎縮 胃がんのリスク大
胃体部優勢胃炎 高度萎縮 胃がんのリスク大

この表からわかるように、胃カメラ(内視鏡)を受けた場合、自分の胃が「どの程度の萎縮性胃炎なのか」について担当医から説明を受ける必要があります。

萎縮による胃がんリスク評価に関しては多くの報告があります。

現在のところ、正常な胃(ピロリ菌未感染の胃)から発生する胃がんは胃がん全体の1%以下と考えられています。

高度萎縮では、ピロリ菌除菌は胃がんの発生を抑制せず、発生した胃がんの発育進展を遅らせる可能性があると考えられています。

軽度萎縮では「未分化型胃がん」の割合が増加します。

複数の報告で、軽度萎縮の患者さんでは、除菌治療によって胃がんの発生が抑制されることが明らかにされています。

したがって、胃がん予防を目的としたピロリ菌除菌療法は、ピロリ菌の感染期間が比較的短く、胃粘膜萎縮が軽度の若年者に対して、より積極的に行うべきであると考えられます。

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