内科・消化器内科「天神橋みやたけクリニック」では内科疾患全般、特にB型肝炎、C型肝炎、胃カメラ(ピロリ菌治療を含む)、花粉症(舌下免疫療法)、生活習慣病(高血圧症、脂質異常症、糖尿病、痛風)、アンチエイジングの診療に力を入れています。|大阪市北区「南森町駅」「大阪天満宮駅」下車、天神橋筋を北へスグ|大阪府肝炎専門医療機関

鉄欠乏性貧血の治療

鉄欠乏性貧血の治療

鉄欠乏性貧血の患者さんを診察した場合、鉄の需要が高まっている成長期、もしくは妊娠中の女性、月経を有する若年女性であれば、鉄剤の投与を開始します。

閉経後の女性や成人男性の場合は、積極的に消化管検査などの検査を実施して、出血源を探します。

出血源が明らかになった場合は、その原因疾患を治療するのが原則ですが、同時に鉄剤の投与を行います。

治療は鉄剤の内服であり、食事からの補充では貧血を改善するのに不十分です。

2価鉄イオンは3価鉄イオンに比べて吸収されやすので、経口鉄剤は3価への酸化を防ぐコーティングがされています。

これが胃酸で溶かされて2価鉄イオンが放出されますが、胃薬(制酸薬)の使用や胃切除後ではこのプロセスがうまくいきません。

経口鉄剤の副作用は、腹痛、悪心、軟便、下痢などであり、胃から十二指腸や空腸で鉄イオンが急に溶け出すことによります。

フェロ・グラデュメット®はこれを抑えて副作用を軽減しています。

フェロミア®は胃酸の影響を受けずに溶解するため、胃切除後や高齢者の鉄補充に使われます。

経口鉄剤は胃内の酸性度が高い空腹時に良く吸収されるとされます。

しかしながら、空腹時に服用すると副作用である消化器症状が出やすくなります。

消化器症状を抑える目的での食後の服用、制酸薬の併用は鉄の吸収率を低下させますが、1日の鉄剤投与量が食事中の鉄の10倍以上であるため、治療効果にあまり影響はありません。

長期間の内服が必要になることを考えると、患者さんが内服を継続できるようにすることが重要となります。

日常診療においては、100~200mg/日の鉄剤内服を行うため、鉄の吸収量を考慮すると十分な量の鉄が投与されることになります。

鉄剤で便が緑黒色になります。

経口鉄剤は消化管症状をおこすことが多いので、ビタミンCを同時に投与すると軽減できることがあります。もしくは、鉄剤の代わりにヘム鉄のサプリメントを使うという選択肢もあります。

治療開始後、数日で網状赤血球の上昇が認められ、開始時の重症度や出血のレベルにもよりますが、通常2か月程度で貧血は正常化します。

したがって、鉄欠乏性貧血に対して原則的に輸血は不要です。

中には、服用していても経口鉄剤による効果が不十分な場合があります。

消化管検査等によっても、こうした鉄欠乏の原因が同定されない場合があります。

経口鉄剤が効かない場合は、ピロリ菌の検索が重要になってきます。

ある海外の報告では、そのような場合の50%以上でピロリ菌が陽性であったとされています。

日本においては、これらの鉄剤不応性鉄欠乏性貧血におけるピロリ菌の関与が高い可能性があります。

この他、ピロリ菌と鉄剤不応性の鉄欠乏性貧血との関連を指摘している研究は多くあります。

ピロリ菌に感染している患者さんでは、鉄剤単独よりもピロリ除菌+鉄剤治療の方が貧血の改善が良好であったことも報告されています。

少し専門的になりますが、ピロリ菌感染による鉄欠乏性貧血発症のメカニズムは、胃炎による微少出血、ピロリ菌と生体との鉄吸収の競合、ピロリ菌感染による萎縮性胃炎による胃酸分泌不全など、いくつかの可能性が考えられていますが、現時点では確定されていません。

これらの研究結果から、当院でも、ピロリ菌感染が確認できた鉄剤不応性貧血の患者さんに対しては、ピロリ除菌療法を試みる必要があると考えています。

経口鉄剤が合わない患者さんでは静注鉄剤を投与する場合もあります。

静注鉄剤は遊離鉄イオン(生体に毒性があります)を生じやすいので、その使用は以下の場合に限られます。

  • 胃腸症状が強く経口投与ができない
  • 経口鉄剤で増悪する潰瘍性大腸炎などが併存する
  • 経口薬からの吸収を上回る出血などによる著明な鉄の喪失
  • 消化管から鉄が吸収できない

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